顎関節症と咬み合わせ
顎関節症の症状について

顎関節症になると、顎の関節とその周辺に障害が現れます。口を開けにくい、大きく口を開けると「ガクッ」「シャリシャリ」と音がするほか、頭痛・耳鳴り・めまい・顎の周辺や耳の穴のそばが痛む、咬みにくいなどさまざまな症状が現れます。
最近、顎関節症は20~30代の女性に増えており、なぜ男性より女性に多いのかは明らかにされていません。「女性ホルモンが関係する」「女性は筋力が弱いため」などの説があります。
当クリニックの矯正治療
顎関節とは、内臓筋由来の7つの神経支配が集合体で、「関節円板」のクッションの役割を持つ軟骨のことです。日系アメリカ人のDr.Hatasakaによると「顎関節症は筋肉の病理であり、咬合異常ばかりが顎関節症を引き起こすものではない。顎関節症の主な原因は1に筋肉、2に顎関節、3に咬合」とされています。特に筋肉に関連した主な原因は開口筋のスパスム(強い緊張)で、ほかには精神的ストレスによっても起こり、たびたび再発を繰り返す場合もあります。しかし、伝達マヒでその悪循環を遮断すると、再発も少なく効果的に症状の改善が得られます。
生活習慣からも

顎関節症は生活習慣からも引き起こされます。横寝やうつ伏せ寝、頬杖などの習慣があると持続的に力がかかり症状が悪化します。さらに体の使い方で左右に著しい差があると、頭蓋骨にまで歪みが出るといわれているのです。日常的に体の使い方をアンバランスにならないようにしなければ、根本的な解決にはならないのです。
命の要のちょうつがい
顎関節に異常があると、内臓筋の障害として症状が現れます。そして内科的疾患と同じような心身症になることがあるといわれています。そのため東京大学顎口腔外科の西原克成先生は顎関節を「命の要のちょうつがい」と位置付けています。
顎関節は歯によって支えられています。よって、咬み合わせの重要性はとても大きく、咬み合わせのわずかな狂いが顎関節症につながることもあるといえるのです。
口呼吸・うつ伏せ寝による症例
東京大学の西原克成先生の報告によると、口呼吸やうつ伏せ寝などの力学的側面からも、顎関節症、歯ならびや咬み合わせの乱れなどが起こるとされています。
ここで二人の20代女性の症例をご紹介しましょう。


一人は下顎の小臼歯が生えるスペースがないので歯が内側に倒れ、舌の入るスペースも喉のほうしか空いていません。したがって気道が狭くなり、体全体が酸素不足になっています。呼吸が苦しく仰向け寝ができず、横向きやうつ伏せ寝の日々が続いているそうです。そのため頭の重さが加わり、歯ならびが狭くすぼまったようになってしまっています。さらに頭痛・冷え性も起こっていました。歯列が前に出ているので口呼吸になってしまい、これも悪循環になります。



もう一人の症例は、うつ伏せ寝の影響がはっきり現れて歯列はV字型になっています。こちらも歯列が前に出ているため口唇を閉じにくく、口呼吸になっています。上の歯列が下の歯列を抱え込むように内側に傾斜しており、このような咬み合わせは顎関節症を起こしやすいとされています。
顎関節治療プレート
顎関節症の治療で使用する「スプリント」と呼ばれるプラスチックのプレートは、夜だけ使用することがほとんどです。そのため、効果が出るよう一般的に大きなものや舌に触れるものが多くあります。しかしその反動で嘔吐反射が出たり、慣れずに継続できなかったりすることが多くありました。
そこで当クリニックが考案したのが、舌運動を阻害しないスプリントです。これを治療に用いることにより違和感や発音障害を抑え、長時間使用を可能にしました。意図的に24時間装着する場合や初期段階の症状以外の場合、睡眠時や仕事、運転中など、無意識に緊張して咬みしめるときに限定して装着するよう指導しています。
顎関節症ではないかと少しでもお悩みでしたら、いつでもご相談ください。
咬み合わせについて
食生活と歯列不正

最近の子供には、きれいに歯がならびきらない、いわゆる「ディスクレパンシー」と呼ばれる状態の子が多数います。
歯列は歯の外側の筋肉と内側の舌とのバランスによって成り立っています。ですが、現代人の食生活は軟食化し咬む回数が少なくなり、乳児期に嚥下(えんげ・飲み込むこと)運動によって活発化するはずの舌運動が不十分になりがちです。そのため、舌の筋肉の発育不足に陥り、歯列不正を引き起こしているのです。
98.5%非抜歯で治療をしているアメリカの矯正医・グリーンフィールド先生は、「成長期を過ぎてから矯正を行うと抜歯症例となるケースが多くなり、抜歯をすると顔立ちが委縮し、本来持っている成長発育を阻害する」と報告しています。
歯ならびや咬み合わせの悪さが気になったら、少しでも早く医師に相談しましょう。




